遠くの水面にのしかかる夜に
昼を見た
湿気でにじむとがったはすの花のような
(いや見ていない)
赤くて石のようにごつごつした手触りが
てのひらにおさまらなくて
「昼の破片を手に入れました」
皮膚がとけていくのに気がつかない私は
泳ぐ(下へ)
鳥の目のような夜を
飲みこまれていくのは
くちびる
純情クロオル 鈴
空気に鈴の音がのっている
(漂着するのはいつだって朝)
水との契り
息つぎの間に
うすいかなしみがあった しぼりだされる
衣類のようにかたく
体を舐めまわしていた泡は去り
頭が高笑いをあげる
(わたしもうその午後を覚えていない)
雲の巣のように海肌が目から入ってくる
わたしには空も海も同じ
だけど線をひいておきたい
硬直するつまさき
なくなったら
きっと泣く
明るい方角が闇だ
青い水底のわたしの影に
からまるように
乾ききった花びらのような昼
の輪郭が
ふやけて白くゆれていて
目をあわせことばをかわしたら
ひびきの尾のように
いともたやすく親密さは消えた
--
部分部分にイラストがある。すべて手書きだ。間の取り方も絶妙な感じだ。文字のフォント感が初め男性だが途中から女性に変わっている。
何より、電話ボックスに明らかに誰かに手にとって読んでもらいたいかの様に、置き去りにされていたのだ。
だから、電話ボックスの横を通った俺はその気配を感じとり、家に持ち帰った。
そして今、携帯でその文字らを打ち込んだ。
さようなら
こういうモノをzineと呼ぶのだろうか。
部屋の岩塩が溶けている。
さようなら
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